世界の野球
第2回WBCで日本が2連覇を決めてから4日、ようやく興奮も収まりつつある。
僕はすぐに記事を書こうとしたが、色々書いてはみたものの焦点がぼやけてしまい全く内容をまとめられずにいた。かと言って今もちゃんとまとめられたとは言い難いが、やはり大会全般的な事から書いておこうと思う(ほかにも書くのかよ)。
関心の低かった第1回大会とは違い北京五輪惨敗後の大会ということもあり開幕前から異様な盛り上がりをみせ、国民的関心事となった今大会だった。そして監督選考と選手選考でのゴタゴタもあり、日本球界が一枚岩だったとは言えない中で、様々な曲折を経た末につかんだ勝利であるだけに興奮と同時になんとも言えない安堵感を持ったのも事実だった。日本中を歓喜の渦に巻き込んだこの勝利はそんなゴタゴタなどどうでも良いことにしてしまった。本当のところはどうでも良いわけではなく、この勝利によって日本球界が少しでも良い方向に向かって行って欲しいと心から切に願う。
幸いにして、少なくとも日本はWBCへの国民的関心も高く、2連覇したことで選手が代表入りすることに誇りを持つことができるようになった。この熱が冷めないうちに球界挙げて「日本代表」というものへの意義付けや、代表監督・選手の選考の決定方法などWBCに臨むにあたっての環境整備に取り組むべきだろう。併せて運営面への積極的な意見介入、国内とアジアを中心にした野球発展への更なる取り組みなど「世界一」の国にふさわしい球界になってほしい。
では、WBCは世界一を決めるにふさわしい大会だったのか。
残念ながら答えはノーだ。
まず、時期の問題。選手が最高のパフォーマンスを発揮するには3月という時期はあまりにも良くない。ケガのリスクを恐れ、多くの大リーガーが辞退したのもムリはない。日本や韓国が傑出した戦いを見せたのはそういったリスクを恐れず、早い段階から準備をし、チームを熟成させてきたからだ。開催母体のMLBが自国のリーグを重視する余りこの時期になってしまっているわけだが、そんなだから大リーガー達も出たがらない。メジャーリーグを中断してでも行うくらいの本気度を見せて欲しい。野球の母国アメリカの選手達がWBCへの参加にあまり積極的でなかったのはやはり寂しい限りだった。「辞退した選手達でチームを編成した方が強かっただろう」なんて皮肉られるようでは・・・。開催時期が夏になってしまうと日本だって韓国だって困るだろう。しかし、今後4年に一度の世界一を決める大会ということで定着させるならば痛みも必要なはずだ、本当に野球の世界的発展を願うならば。
そして誰もが思うように、勝ち上がっていくシステムの問題。せめて2次ラウンドでいっせいにシャッフルするべきだろう。また「1位通過決定戦」も無駄だ。抽選で組み合わせを決めればいいだけのことだ。韓国チームにばかり詳しくなってしまって「ワールド」と言いながら、日本は4チームとしか対戦していないのだ。
ほかにも投手の球数制限や開催地の問題(決勝ラウンドがアメリカばかり)などもあるが、WBCはまだ始まったばかりだ。そもそも、アメリカでなければ、MLBでなければWBCを立ち上げることすらできなかったはずだ。そこはさすがにスゴイと認めざるを得ないし、そのおかげでここまで盛り上がれたのは事実だ。それに、始めから何もかもが全てうまくいくわけでもなし、何よりも世間に認知させていくことこそが最重要だ。そういう意味では全試合を通じ計80万人以上の観客を動員したことには希望が持てる。日本や韓国での高視聴率も無視できないはずだ。反面、アメリカ国内での視聴率は良くなかったらしいが・・・。
日本は今大会で世界に向けて疑いようのない実力を見せたため、次回以降の代表チームの重圧はさらに強いものとなるだろう。もし、アメリカを始め強豪国が本気を見せ始めたとしたら、日本はうかうかしてはいられなくなる。しかし、そういう中で勝ってこそ真の世界一だと言えるのではないだろうか。サッカーのW杯で勝った国は間違いなく「サッカーの世界一」だと、全てのサッカーファンが認めるように、WBCでのチャンピオンが疑いようもない「野球の世界一」と認められるためには全ての参加国・地域の代表が本気でなければならないのだ。そして本気を出したくなるような舞台がすこしでも早く整って欲しいものだ。
僕は今回、日本の試合はほとんど観たが、それでも全てをつぶさに見たわけではないし、ましてや他のグループの試合などはほとんど見ることはできなかった。だから日本で報道される限りにおいての情報しか知らない。ほかの、中継で見ることができなかったチームがどうだったのかはほとんど分からない。
優勝候補に挙げられたドミニカ共和国がオランダに2度も敗れ、1次ラウンドで敗退したのには誰もが驚いたはずだ。では、オランダチームというのはどんな選手がいて、どんな野球をするのだろうか?そしてもし、日本と当たっていたら?・・・誰もがそんな関心を抱いたはずだ。2度目にドミニカを破った後の会見でオランダの監督は感極まって涙を流した。それほど感動的な試合を観たかったと、僕は心底思った。
他にもカナダ相手に善戦したイタリアや、「そんなとこで野球やってんの?」ってすら思う南アフリカなど、普段は目にすることのない国の野球が観たくてたまらなかった。もし日本がオランダやドミニカと当たっていたらどんなゲームになってたいたか考えただけでもワクワクする。オランダチームだって日本や韓国と戦いたかったに違いない。いや、もちろん日本以外のゲームももっともっと観たい。サッカーのW杯だって本当のサッカー好きは母国を応援するだけではなく世界の多彩なサッカーを楽しんでいる。WBCが同じように野球ファンにとって、日本の試合でなくとも楽しめるような、楽しみになるような、そんな大会になって欲しい。
そんな大会でなら、日本が世界一になれなくたって構わない。日本ばかりが勝つようじゃ野球の未来もあったもんじゃない。勝てなくて悔しい思いをして次の大会が待ち遠しくて仕方なくなる。それもまた楽しいと思う。
世界には僕らの知らない野球がまだまだたくさんある。
なんだか、とても素敵じゃないか。
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