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2009年7月 2日 (木)

クーパーズタウン

Halloffame「クーパーズタウン」という名前を聞いてピンと来る人はかなり野球、いや「ベースボール」に詳しいか、興味を持っている人だろう。
クーパーズタウンとは、「アメリカ野球殿堂博物館(National Baseball Hall of Fame and Museum)」のあるニューヨーク州の町の名である。先日、日本の野球博物館について触れたので、今回は本家アメリカの野球博物館の事に少し触れてみよう。

クーパーズタウンは「ベースボール発祥の地」という“神話”の舞台であり、それゆえに野球博物館もここに建設された。創設は1939年だから、今年はちょうど70周年に当たる。日本の野球博物館が50周年だから、ちょうど20年先輩だ。
創設がなぜ1939年であったか。
それは「ベースボール」の発明から100周年の記念の年だという「神話」に基づく。「神話」とは「1839年、NY州クーパーズタウンにおいて『アブナー・ダブルデー』という軍人が初めてベースボールを考案し、プレーした」というものだ。これは1905年に「ベースボール起源調査委員会」という委員会が調査し発表されたものであり、長くこの説が信じられてきた。そのため「ベースボール誕生100年」の記念すべき年にこの博物館が建設されたのだ。ただし、その主たる役割を担った、というか言い出しっぺはクーパーズタウンの私設財団であり、ベースボールのためというよりは地元の観光振興のためにこの「神話」を利用したのであった。付け加えるなら1905年の調査委員会というのも、有名なスポーツ用品メーカー「スポルディング社」が中心となったもので、結論(ベースボールはアメリカで生まれたオリジナルのスポーツである、という)ありきのずさんな調査だったらしい。
後にこのダブルデーという人物が1839年当時にクーパーズタウンにはいなかったことが分かり、またダブルデー本人もベースボールに関する記録などを何一つ残していないことなどからこの説がウソだったことが判明した。そして、今ではこの説を信じている人などまずいない。だけど「ダブルデー説」はひとつの「神話」あるいは「おとぎ話」として「それはそれでアリ」みたいになっている。なにより「アメリカ野球殿堂博物館」はこのクーパーズタウンにあるという事実と、この町の美しさがそんな細かいことなど気にしないでもいいという気にさせてくれているようだ。都会の喧噪からかけ離れたこの町は、大リーグのフランチャイズもなくただベースボールが好きというそのことだけで成り立っている「ベースボールの町」だ。だからこそひいきチームに関係なくベースボールそのものに思いを馳せるには最高の場所なんだと思う。特定球団の本拠地球場の一部になってしまっている日本の野球博物館とは彼我の差を感じずにはいられない。
史実はどうあれ、このクーパーズタウンは「ここが野球誕生の地であってもいいんじゃね?」ぐらいに感じる牧歌的で美しい町だ。そんな雰囲気があったからこそ、最初の「神話」も難なく受け入れられたのかも知れない。

ちなみに最初の「ベースボール」の試合(対外試合という意味で)が行われたのは1846年のこと。ニューヨークのマンハッタンから川を隔てただけのニュージャージー州ホーボーケンという町でそれは行われたという、それが現在の「定説」だ。ただし「ベースボール」そのものの発祥となると極めて曖昧だ。それを書くとまた長くなるので自粛するが・・・。

僕はこのアメリカの野球殿堂博物館に一度だけ訪れたことがある。
その時のことは近々また改めて書くつもりである。

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