野球博物館50年
「野球博物館」をご存じだろうか。正式名称は「財団法人 野球体育博物館」。野球の殿堂と博物館、図書館などが一体になった施設で、東京ドームの一角に作られている。「体育」という名称が付いているのは文科省の補助金がもらえるとか、税金が免除されるとか、そういった理由からだったと思う。その野球博物館が今年開館50周年を迎えたというので、久しぶりに足を運んでみた。
入り口階段を降りた正面には、記憶に新しいWBCのトロフィーが展示されていた。前回06年大会のトロフィーと今年の二つが並べられており、二つ並ぶとさすがに迫力がある。順路通りに行くと、次に原12球団のユニフォームと主力選手の道具やサインの展示。ここのレイアウトは基本的に変わらないが、ユニフォームや扱う選手はその都度変わっている。その後プロ野球の歴史、野球の歴史、アマ野球の歴史・・・などの展示がありそれぞれの関連収蔵品が展示されている。古い野球道具やイベントポスターにチケット、ルールブックなど野球好きには楽しい場所であるのは言うまでもない。野球の道具で最も変わったのが、グローブであり、ほとんど変わらないのがボールである。バットも基本的な形状にには変わりがないと言っていいだろう。ボールも見た目はともかく「性能」については長い年月の中で進化してきてはいる。ただ、基本的な作りと形状や素材についてはほかの数多ある球技に比べて一番変化がないはずだ。そこが野球というスポーツの普遍性を表しているのだと展示を見ていて思う。
そして一番広いスペースを取っているのが「野球殿堂」である。今年までの殿堂入り表彰者168名と特別表彰4名のレリーフが壁に掛けられている(レリーフの出来にバラつきがあるのが気にはなるが)。プロ野球に限らず、野球界の発展に寄与した人々が殿堂入りしているのだが、知らない人もかなりいる。陽の当たるスター選手や監督ばかりではなく、こうした人たちを後世に伝えていくという理念は素晴らしい(個人的には殿堂入りにふさわしいと思えない人もいるのだが・・・)。
今年は先にも書いたように野球博物館の開館50年という記念の年である。それに合わせた企画展が順次開催される予定だが、現在は「野球殿堂50年のあゆみ」が開催中(7月20日まで)だ。開館当時の写真や新聞記事、殿堂入り表彰式の写真と殿堂入りした方々ゆかりの品が展示されているので興味のある方は出かけてみるといいだろう。
野球博物館は東京ドームのオープンに合わせて移転・拡張されたのだが、それ以前の1987年までは後楽園球場の脇、地下鉄丸ノ内線の後楽園駅に近いところにあった。僕は大学時代に一度だけ訪れたことがある。シーズンオフの平日とあって、来館者はほとんどいなかった。今でこそ後楽園駅周辺は再開発によって賑やかになっているが、当時(25年前)は後楽園球場の裏口といった感じであった。しかし、その寂れた雰囲気が当時のこの博物館には妙にマッチしていた気がする。館内もあまり明るくなく、だけどもそこここに野球の匂いを感じることができる落ち着いた雰囲気だった。おそらくは本当に野球が好きな人だけが訪れる場所だったのだろうと思う。今は東京ドームの一角に移り入場者は増えたに違いないし、気軽に入れるという意味では良くなった。しかし、訪れる人はまばらであっても個性的な、独立した建造物だったかつての野球博物館を懐かしく思うのは僕だけではないと思う。
入り口(左)とWBCのトロフィーふたつ
名投手・杉浦忠のレリーフ。博物館開館の年、38勝を挙げ日本シリーズ4連投4連勝でMVP。個人的に全盛時の投球を見たい投手の筆頭。
松坂のユニフォームとベーブ・ルース来日時のポスター。この時結成された日本チームが後の巨人軍の元になった。それから75年、日本野球は大リーグに肩を並べた・・・のか?
「鎮魂の碑」。太平洋戦争に散ったプロ野球選手の慰霊碑。東京ドームに背を向けるようにひっそりと建っている。かつては博物館の入り口付近にあった。なぜ、これをもっと人目に付くところに移設しなかったのかが分からない。そういうところが日本のプロ野球のもっともダメなところだ。
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